株式会社山田養蜂場「令和4年9月9日」 | 林田学監修:薬事法ドットコム 措置命令データブック

林田学監修:薬事法ドットコム 措置命令データブック

弁護士出身の実業家・林田学です。景表法のプロ薬事法ドットコムが措置命令についてお伝えしていきます。

Ⅰ.分類

1.誤認類型

優良誤認

 

2.表示媒体

ウェブ、DM

 

3.業界

健康美容

 

Ⅱ.違反行為者

株式会社山田養蜂場

 

Ⅲ.措置命令の概要

⑴ 対象商品

アないしウの各商品(以下「本件3商品」という。) 

ア 「ビタミンD+亜鉛」と称する食品(以下「本件商品①」という。) 

イ 「ファースト 1stプロテクト」と称する食品(以下「本件商品②」という。)

ウ 「セカンド 2ndプロテクト」と称する食品(以下「本件商品③」という。)

 

⑵ 対象表示 

(ア)表示媒体

別表「表示媒体」欄記載の表示媒体

 

(イ)表示期間

別表「表示日又は配布日」欄記載の日

 

 

(ウ)表示内容 (別紙1 別紙2 別紙3 別紙4

例えば、本件商品①について、令和3年11月1日に、自社ウェブサイ トにおいて、本件商品①の容器包装の画像と共に、「新型コロナウイルス “第6波”に警戒を <感染>と<重症化>どちらも予防したい…お客 さまの声に応えて 『ビタミンD+亜鉛』 2021年11月1日(月)新発売」及び「■感染と重症化に備える『ビタミンD+亜鉛』 山田養蜂 場にも、多くのお客さまから『予防だけでなく、もし感染しても重症化し ないよう、今すぐできる対策をしたい』との声が寄せられております。そ のようなご要望にお応えするため、このたび抗菌ペプチドの産生をサポ ートする『ビタミン D』に、身体の免疫力をサポートする必須ミネラル 『亜鉛』『ビタミン A』『ビタミン B6』『ビタミン C』を配合し、 一粒に凝縮した製品を開発いたしました。『ビタミン D』と『亜鉛』は、 ともに新型コロナウイルス感染時の重症化を防ぐ可能性が研究報告され ており※2※3、いま注目されている栄養素です。」等と表示するなど、別表 「対象商品」欄記載の商品について、同表「表示日又は配布日」欄記載の 日に、同表「表示媒体」欄記載の表示媒体において、同表「表示内容」欄 記載のとおり表示することにより、あたかも、本件3商品を摂取すること により、新型コロナウイルスの感染予防及び重症化予防の効果を得られ るかのように示す表示をしていた。

 

イ 実際 

前記アの表示について、消費者庁は、それぞれ、景品表示法第7条第2項 の規定に基づき、山田養蜂場に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとな る合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出さ れた。しかし、当該資料はいずれも、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠 を示すものであるとは認められないものであった。

 

⑶ 命令の概要

ア 前記⑵アの表示は、それぞれ、本件3商品の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に 違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。 

イ 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。 

ウ 今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく、前記⑵アの表示と同様の表示を行わないこと。

 

 

Ⅳ.メディアの報道

消費者庁が根拠となる資料の提出を山田養蜂場に求めたところ、「ビタミンDと亜鉛が欠乏している人は新型コロナウイルスで重症化しやすい」とする海外の論文が示されたが、3商品を摂取すれば感染や重症化を防ぐと裏付ける十分な資料は提出されなかった、と報じている(毎日新聞)

 

Ⅴ.薬事法ドットコムからのコメント

コロナに対する効果は国が認めた以外は一切言わせない政策なので内容的には当然だが、目を惹くのはそのネタがPRTimesだったということ。

 

ということは、「PRTimes記事も景表法対象」ということになるのか?どの会社もプレスリリースは言いたい放題なので、そうだとしたら一大事!、という感じだが、これを「HPに載せていた」というオマケがついていた。このオマケがあると自らHPに書いていたのと同じになるので(「引用」のルール)、目新しいことはない。

 

とは言え、どこかの国の軍事演習で日本海にミサイルをぶちこまれた感もあり、プレスリリースに対する威嚇射撃が本音だったのかもしれない。

 

なお、広告か非広告かの判別は薬事法上は厳密に考えられているが、景表法はアバウト。広告該当性の判断の後に合理的根拠の審査があり、こちらが本命なので、第一関門である広告・非広告かはアバウトに考えられている感じ(2019.11.1措置命令のブロリコ事件がその典型>)。

 

だとすると、景表法上はプレスリリースを広告と見ることも十分に可能と思われる。