二酸化塩素による空間除菌を標ぼうする商品の販売事業者4社「令和5年2月1日」 | 林田学監修:薬事法ドットコム 措置命令データブック

林田学監修:薬事法ドットコム 措置命令データブック

弁護士出身の実業家・林田学です。景表法のプロ薬事法ドットコムが措置命令についてお伝えしていきます。

Ⅰ.分類

1.誤認類型

優良誤認

 

2.表示媒体

WEB、パッケージ

 

3.業界

健康美容

 

Ⅱ.違反行為者

興和株式会社

株式会社中京医薬品

ピップ株式会社

株式会社三和製作所

 

Ⅲ.措置命令の概要

対象商品

興和株式会社

「ウイルス当番」と称する商品(以下「本件商品①」
という。)

 

株式会社中京医薬品

「エアーマスク」と称する商品(以下「本件商品②」
という。)

 

ピップ株式会社

「ウィルリセット」と称する商品(以下「本件商品③」
という。)

 

株式会社三和製作所

「二酸化塩素発生剤クロッツ空間除菌」と称する商品
(以下「本件商品④」という。)

 

 

⑵ 対象表示 

興和株式会社

商品パッケージ(以下「商品パッケージ①」という。)
「コーワ健康情報サイト」と称する自社ウェブサイト
「ウイルス当番ブランドサイト」と称する自社ウェブサイト

 

株式会社中京医薬品

商品パッケージ(以下「商品パッケージ②」という。)
「イキイキ良品館」と称する自社ウェブサイト
「Air Mask® エアーマスク」と称する自社ウェブサイト

 

ピップ株式会社

商品パッケージ(以下「商品パッケージ③」という。)
「ピップ製品情報」と称する自社ウェブサイト
「ピップウエルネス通販」と称する自社ウェブサイト

別表3「表示媒体・表示箇所」欄記載のInstagramと称するSNS(以下「Instagram」という。)内のアカウントの投稿

 

株式会社三和製作所

商品パッケージ(以下「商品パッケージ④」という。)

 

 

c     表示内容

a 興和(表示例:別紙1-1ないし別紙1-12) 

本件商品①について、例えば、令和3年12月28日から令和4年7 月23日までの間、商品パッケージ①において、「二酸化塩素の除菌パ ワー」、「身近にひそむウイルス・菌に」、「ウイルス・菌の除去」等と表 示するなど、別表1「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示媒体」欄 記載の表示媒体において、同表「表示内容」欄記載のとおり表示するこ とにより、あたかも、同表「使用方法」欄記載のとおり本件商品①を使 用すれば、本件商品①から発生する二酸化塩素の作用により、同表「表 示内容」欄記載の期間にわたり、同表「場所」欄記載の場所において、 室内空間に浮遊するウイルス又は菌が除去又は除菌される効果が得ら れるかのように示す表示をしていた。

 

b 中京医薬品(別紙2-1ないし別紙2-7) 

本件商品②について、例えば、令和4年4月22日から令和5年9月 30日までの間、商品パッケージ②において、「使用目安 60日」、 「空気に反応しClO2を放出 ClO2の持つ酸化作用により除菌・ 消臭」等と表示するなど、別表2「表示期間」欄記載の期間に、同表「表 示媒体」欄記載の表示媒体において、同表「表示内容」欄記載のとおり 表示することにより、あたかも、ネームホルダーを首から掛ける、ネー ムホルダーが付いた鞄を肩から掛ける、二酸化塩素発生剤が入った専 用ケースをポケットに入れる等により身に着けて本件商品②を使用す れば、本件商品②から発生する二酸化塩素の作用により、二酸化塩素発 生剤1袋につき60日間にわたり、身の回りの空間に浮遊する菌が除 菌される効果が得られるかのように示す表示をしていた。

 

c ピップ(表示例:別紙3-1ないし別紙3-8-2) 

本件商品③について、例えば、令和4年4月21日から令和5年4月 30日までの間、商品パッケージ③において、「ウイルス・菌を除去 ※1」、「二酸化塩素のチカラ」等と表示するなど、別表3「表示期間」 欄記載の期間に、同表「表示媒体・表示箇所」欄記載の表示媒体・表示箇所において、同表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、同表「使用方法」欄記載のとおり本件商品③を使用すれば、室内空間において、同表「効果」欄記載のとおりの効果が得られるかのように示す表示をしている又は表示をしていた。

 

d 三和製作所(別紙4-1ないし別紙4-4) 

本件商品④について、令和4年4月21日以降、商品パッケージ④に おいて、例えば、「二酸化塩素発生剤」、「CLO2」、「クロッツ空 間除菌」、「使用開始日より60日間有効」、「空間の細菌・ウイルス・ 悪臭を除去!」等と表示するなど、別表4「表示内容」欄記載のとおり 表示することにより、あたかも、本件商品④を据え置き又は壁掛けにて 設置して使用すれば、本件商品④から発生する二酸化塩素の作用によ り、60日間にわたり、室内空間において、室内空間に浮遊する細菌又 はウイルスが除菌又は除去される効果が得られるかのように示す表示 をしている。

 

イ 実際
前記アの表示について、消費者庁は、景品表示法第7条第2項の規定に基づき、4社に対し、それぞれ、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、4社から資料が提出された。しかし、当該資料はいずれも、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。

 

 

⑶ 命令の概要

命令の概要

ア ピップ及び三和製作所

 (ア)

a ピップは、本件商品③について、令和5年7月27日以降、Ins tagram内のアカウントの投稿において、表示の裏付けとなる合 理的な根拠をあらかじめ有することなく行っている本件商品③、本件 商品③の商品パッケージ及び二人の子供の画像並びに本件商品③及び 二人の子供の画像と共に、「部屋のウイルス対策として二酸化塩素で室 内のウイルス・菌を除去してくれる、ピップ『ウィルリセット』を置 き始めてみました!」、「置き型・ゲルタイプでタブレットをセットし て置くだけ設置も簡単だし、塩素のニオイが気にならず、いい香りが する」、「フローラルとフルーティーの香りがあるよ」、「これからの季 節もしっかり対策していこう」、「#ピップ」、「#ウィルリセット」、「# ウイルス対策」及び「#PR」と表示することにより、あたかも、本件 商品③を室内に設置すれば、室内空間において、本件商品③から発生 する二酸化塩素の作用により、室内空間に浮遊するウイルス又は菌が 除去又は除菌される効果が得られるかのように示す表示をしている行為を速やかに取りやめること。 

 

b 三和製作所は、本件商品④について、令和4年4月21日以降、商 品パッケージ④において、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらか じめ有することなく行っている別表4「表示内容」欄記載のとおり表 示することにより、あたかも、本件商品④を据え置き又は壁掛けにて 設置して使用すれば、本件商品④から発生する二酸化塩素の作用によ り、60日間にわたり、室内空間において、室内空間に浮遊する細菌 又はウイルスが除菌又は除去される効果が得られるかのように示す表 示をしている行為を速やかに取りやめること。

 

(イ) 前記⑵アの表示は、それぞれ、本件商品③及び本件商品④の内容につ いて、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すも のであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底 すること。 

(ウ) 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。 

(エ) 今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく、 前記⑵アの表示と同様の表示を行わないこと。

 

イ 興和及び中京医薬品 

(ア) 前記⑵アの表示は、それぞれ、本件商品①及び本件商品②の内容につ いて、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すも のであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底 すること。 

(イ) 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。 

(ウ) 今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく、 前記⑵アの表示と同様の表示を行わないこと。

 

Ⅲ.メディアの報道

各社の今後の対応に関して以下のようなコメントが報じられている(朝日新聞デジタル)

 

興和株式会社

「措置命令に至ったことは誠に遺憾。今後の対応については様々な選択肢を検討中」

 

株式会社中京医薬品

「再発防止策について社内で検討している」

 

ピップ株式会社

「真摯(しんし)に受け止め、今後改善につとめていく」

 

株式会社三和製作所

「対応が完了するまでは販売を一時停止している」

 

Ⅳ.薬事法ドットコムからのコメント

クレペリンに対する措置命令で株主として損害を蒙ったとし大幸薬品社の柴田社長に対し、株主代表訴訟を提起した興和社(YDC薬事法ニュース23年5月23日)が措置命令を受けたのは興味深い。