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五十鈴メールマガジン〔No.950〕心理的な壁
配信日時:2022/06/02 11:30
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2022.06.02発行

                 五十鈴メールマガジン ≡No.950≡

==ISZ Mail Magazine =====================

 ◆                            ◆
◆◇◆     ┃今┃号┃の┃メ┃ル┃マ┃ガ┃は┃    ◆◇◆
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       先週は、いよいよ夏に突入かと思われるほど

            気温が上がりましたが、

     今週は雨の日があり、そうなると気温も下がります。

       6月に入り、梅雨の時期を迎えますので

     体調の管理にはくれぐれも気をつけていきましょう。

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☆No.950 CONTENTS━━━━━━━━━━━━━━ ISZ Mail Magazine
┃
┃【CEOメッセージ】
┃ ■_心理的な壁(鈴木勝CEO)
┃
┃【執行役員が伝えたいこと】
┃ ■_海外勤務で学んだこと“躾”(小萱副社長)
┃
┃【五十鈴中央の現場から】
┃ ■_自分のルーツから今思うこと(諌山社長)
┃
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◇◆◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【CEOメッセージ】_鈴木勝CEO

          ――― 心理的な壁 ―――
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇◆

「勝さんとは11歳も離れているんですよ。僕から気安く飲みには誘え
ないし、仕事の話を気軽に相談なんて、できるわけないじゃないですか。」
ソウル駐在員時代、ある後輩にこう言われました。

初めて言われたときはショックでしたね。赴任から3年以上経過し、韓
国人ナショナルスタッフとの信頼関係も盤石なほどまでに構築し、駐在
員のなかでも気がつけば中心的存在となり、人間関係という意味では何
の心配もないと思っていた矢先に言われたわけですから。

自分は怖い存在でもないし、常に相談を聞く姿勢で向き合っていたし、
ましてや感情的に怒ったこともありませんでした。その彼も、「勝さん
が悪いわけじゃない。よくしてもらっていると思っている。」と言いま
す。「でも、気軽に相談はできません。」と言うのです。

後輩を後輩として括ってはいけない。年齢差、相手の価値観やスキル、
心理状態、そういったことを踏まえて、一人ひとりと向き合う大切さを
学びました。

オープンに門戸を開いていれば、勝手に近づいてきてくれる、と思い込
んでいたのです。それでもそうはいかないことがある、ということを教
えてもらいました。

確かに、自分自身が先輩に対してどうだったか?と振り返ると、新人の
ときは誰に対しても緊張して、7歳上の指導担当(五十鈴でいうところ
のインストラクター)に対しても、気楽になんて程遠かったと思います。

私の場合は、年を重ねるにつれて先輩に対する年の差距離が縮まり、ハ
ードルが下がっていったように思います。自分の仕事に対する自信がつ
いてきた、ということもあったでしょう。

ソウル支店にいた頃は、支店長や副支店長に対して何でも臆せず自分が
正しいと思うことをどんどんぶつけて相談できていました。受け止めて
くれる上司だったし、そういった組織風土ができていました。自分がで
きても後輩ができるとは限らないのですね。

これは、ジェネレーションギャップのひとつかもしれません。他方、人
によって違う、という側面もあり、若い世代だから全員がそうというこ
とでもありません。

やはり世代だから、と区切るのではなく、一人ひとりと向き合いながら、
気持ちや想いを探っていくということを丁寧にやっていくしかないと思
います。

Z世代だから、という決めつけバイアスは世の中を複雑にします。わか
りやすく束ねようとするから、余計にわからなくなるのです。バイアス
という眼鏡を外して、目の前にいる個人と向き合うことで、その人の本
音を引き出していきましょう。

ステレオタイプの言葉では、人の心を開くことはできないのです。


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【執行役員が伝えたいこと】_小萱副社長

       ―― 海外勤務で学んだこと“躾” ――
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グループ各社では社員総会の準備に忙しい方も多いのではないかと思い
ます。今後、順次訪問させていただきますので、よろしくお願いいたし
ます。

新グループ経営チームの方針は、オープン、フラット、アジャイルです
ので、活発にグループ、各社、個人、社会について意見交換させていた
だければと思います。

今回は、海外勤務で学んだことをテーマにしたいと思います。

カナダとインドネシア(以降尼国〈にこく〉)という国民性、気温が極
端に異なる国で勤務しましたが、特に、学びの機会が多かったのは尼国
でした。

尼国では1971年に操業を開始した、日系企業では超老舗の製造会社
の10代目の社長として約4年駐在しました。

文化を語る一つの概念にロー・コンテクストとハイ・コンテクストとい
う視点があります。

ロー・コンテクストは、コミュニケーションが率直かつ明確。喜怒哀楽
が顔にも会話にもはっきり出ます。代表国はアメリカ、次いでカナダ、
欧州ではオランダ、ドイツが典型です。

一方、ハイ・コンテクストはコミュニケーションが繊細で、多層的。い
わゆる空気を読み、行間を読みます。根回しも必須です。代表国は、も
ちろん日本。韓国、尼国と続きます。

ご参考ですが、美しい風景を背景に人物を撮影する際に、後で見てもど
こかわからないほど人物を大きく撮る人はロー・コンテクスト。反対に
背景を大きく、表情もわからないほど人物を小さく撮る人はハイ・コン
テクストと言われているようです。

尼国では、世界に誇るハイ・コンテクストの日本人でも本音を引き出す
のは難しく、積極的に会話してくれるのは、駐在員慣れした一部の従業
員のみで、現場の話も工場長などを通じて聴取する場面が多くなってし
まいます。これが、課題であったコンプラ意識の浸透の大きな壁となり
ました。

特に安全に関して、100日も持たず休業災害が発生するほど意識が低
く、怪我をするのは異常ではなく、運が悪かったと思っているのではな
いかと考えたほどでした。

小生の赴任直後にも事故があり、事情を聴取しましたが組織への帰属意
識が強く、怪我をした部署の上司のみならず、本人まで組織を守るのに
必死に言い訳をしてくる始末です。

その時に、同じく日本から派遣された製造担当の役員から5Sの最難関
である躾(しつけ)を意識するようにアドバイスを受けました。

ご存じの通り、本来は清潔な状態を保つことをルール化して、定着させ
るのが“しつけ”ですが、少し歩を進め、従業員全員がコンプラを意識
せずとも当たり前にルールを遵守し、外れた行動をする者がいた場合、
非常に目立つので自身で修正できる状態をゴールにしようと決めました。

安全に力を入れることを宣言し、まずは不稼働の機械や不良在庫を一掃、
工場を明るく清潔にし、フォークリフトは色を塗り直し、トラックは新
車を購入し、ヒトのせいにはできない状態にして、以降工場が汚れてき
たり、車の塗料がはげたりした場合はヒヤリハットのサインとしました。

教育は現場の班長クラスと何度も一緒に日本に弾丸出張し、日本の鉄鋼
メーカーや同業者、自動車部品メーカーの安全教育・操業を丁寧に教え
ていただきました。

安全道場を開設し、巻き込まれ、挟まれなどの実体験を行うことで、特
に入れ替わりの激しい派遣社員への教育に効果をあげました。また、G
o-Proという小さなカメラをヘルメットにつけて一日の作業を撮影、
工場長経験者に安全でない作業を見つけてもらい、現場作業員とビデオ
を見ながら安全について話し合う機会も頻繁に設けました。

それまでも安全の大切さについては何度もメッセージを出していました
が、結局、「本気ではない」と行間を読まれていたのかもしれません。

繰り返し現場に働きかけ、率先垂範で行動し続けることで、空気を読ん
で“これは本気だ”と思ってくれたのか、帰任時まで1135日の不休
災害記録を達成することができました。

帰任時にサプライズで似顔絵をもらったのですが、しっかり「安全が大
事、1135日継続」と看板を手にした構図になっていました。

相当しつこかったのかと笑ってしまいましたが、“しつけ(無意識下コ
ンプラ遵守)”が定着し始めたと感じた瞬間でした。以降も記録更新は
続いており、2658日まで延ばしています。

五十鈴グループでは、残念ながら新年度に入ってコンプラ事案が連続し
ています。

皆さんはすでに“無意識下コンプラ遵守”はできていると認識しており、
気の緩みもないと思っていますが、一段と意識を高め、“ゼロ”を目指
して、ロー・コンテクストで取り組んでいただきたいと思います。コン
プラで以心伝心は頼りになりません。


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【五十鈴中央の現場から】_諌山社長

      ――― 自分のルーツから今思うこと ―――
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本格的な夏到来はまだ先のことと思いきや、先週末には全国的に真夏日
となり、なかには猛暑日となるところもあり、早くも季節外れの暑さが
襲ってきております。

まだ身体も意識も暑さに慣れていない今こそ、かえって熱中症のリスク
が高まっているので、日常生活のなかで熱中症に対する備えを行い、体
調管理には十分注意するようにお願いします。

さて、「咸宜園(かんぎえん)」という江戸時代の塾をご存知でしょう
か?

3年前に他界した父親の遺物の整理を進めているなかで、たまたま自分
の家のルーツに触れる機会があり、自分の記憶の再整理も兼ねて、あら
ためて私塾の由来を探ってみると、時は今から200年以上前の江戸時
代の後記に遡ります。

当時は全国各地に藩校や私塾ができ、教育への関心が高まっていた文化
2年(1805年)、豊後・日田の儒学者・廣瀬淡窓(ひろせ・たんそ
う)が、文化14年(1817年)に、現在の大分県日田市に「咸宜園」
を開校。

私の先祖はそこの第9代の塾長にあたり、父の生前にはその方が祭って
ある日田のお墓参りに行くことが我が家の夏の恒例行事だったことを思
い出します。

塾名にある「咸宜」とは、中国最古の詩集『詩経』にある「咸く宜し=
ことごとくよろし」から来ており、すべてのことがよろしいという意味
で、「門下生一人ひとりの意志や個性を尊重する教育理念」を塾名に込
めていたようです。

身分や階級制度の厳しい時代にあって、入門時に学歴・年齢・身分を問
わない「三奪法(さんだつほう)」により、すべての門下生を平等に教
育する。

また、月の初めに門下生の学力を客観的に評価する「月旦評(げったん
ひょう)」と呼ばれる制度は、門下生の成績を公表することで学習意欲
を起こさせ、勉学に励ませる。

そのほかにも、規則正しい生活を実践させる「規約」や門下生に塾や寮
を運営させる「職任」など、門下生の学力を引き上げ、社会性を身につ
けさせるような、当時としては画期的で新しい考え方のもとに教育が行
われ、80年もの間続いたそうです。

200年以上も前のことなので、時代や環境は大きく変わり、当然今で
は陳腐化している教育体系や考え方はあると思いますが、今もなお、会
社の方向性や指針に通じる教えみたいなものを感じます。

五十鈴中央が大切にしている指針のなかに「全員主人公・主役への成長」
があり、これは役職や所属は関係なく、社員一人ひとりの持ち味や強み
に焦点を当て、自分自身が輝けるフィールド開拓や能力開発を通じて、
全員参画の進化を図っていこうという「自律」的な意味が込められてい
ますが、咸宜園の塾名の由来や「三奪法」にある個の意志や個性の尊重
と相通ずるものがあります。

一方で、組織が同じ方向へ向き、秩序を保ち、質の高いプロセスを共有
するための「規律」は、組織に必要不可欠です。

咸宜園の「規約」や「職任」などは、まさにこの規律に当たるもので、
自律と規律の両立を目指し、そこに向けて人や組織が努力し続けること
の重要性という意味では、昔も今も変わらない普遍性を感じます。

自分のルーツを振り返りつつ、200年前も今も変わらない日本人のD
NAやイズムみたいなものを再認識できましたが、皆さんも自家のルー
ツを辿ると思わぬ発見や気づきがあるかもしれません。

6月に入り、今月中旬より開催される拠点社員総会に向け、各社その準
備に余念がないと思います。

今年の五十鈴社員総会のテーマは「縁誇創新」ということで、創業70
年を支えてきた五十鈴イズムやアイデンティティ、そして第三の創業の
指針となる今後の経営のあり方について社員とともに考え、議論する良
い機会です。

これまでの振り返りを丁寧に行い、未来に向けた社員の意志や思いが反
映される総会になるよう、しっかりと気を合わせ、全員参画の進化につ
なげていきましょう。


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【次号のお知らせ】
 次号の五十鈴メルマガ〔No.951〕は、2022年6月9日に配信いた
 します。
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☆★━編集後記━☆★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆★☆

6月は梅雨時期でもあり、また国民の祝日がない月でもあります。蒸し
暑さはあるかもしれませんが、本格的な猛暑前の猶予期間だととらえて
いきたいものです。
今月後半から来月にかけて、五十鈴グループ各社では拠点社員総会が行
われるため、現在各社は準備の最中です。
今年度のテーマ“第三の創業-縁誇創新”に向けて、グループ・拠点の
これからの経営やこれからの全員参画をそれぞれが考え、話し合ってい
ます。
全社一丸となって、第三の創業のキックオフとなる総会にしていきたい
ものです。

                     (編集室/本間 靖啓)
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 発行人:五十鈴株式会社 鈴木 勝
     (〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-2-1 岸本ビル10階)
 編 集:株式会社アイ・コミュニケーションズ

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